安芸冠山(8) 潮谷ルート
2010年1月10日


吉和の里から見上げる冠山

地図とコンパスのイラストデータ
行程

9:20駐車場所…9:35登山口…9:45滝が休…10:25オオタキ10:35…11:05クルソン岩分岐11:15…11:35国体コース合流地点11:40…12:40山頂13:25…14:05国体コース合流地点14:10…14:28クルソン岩分岐…14:35オオタキ14:45…15:07滝が休…15:25駐車場所

コースタイム(歩行時間) 4時間40分
同行者
その他 入浴@潮原温泉松かわ 650円/1人


登山靴のイラスト 昨年秋に気象庁の暖冬予報が出た時点で、「この冬は寒くなるだろうな」と思っていた。カメムシ予測も出ていましたしね(笑)。(秋にカメムシが多い年は雪が多い。ムシが暖を求めて家の中に入ってくるから多く感じるのでしょう。)

それにしても、県北では本当に毎日雪が降る。あまり雪が深すぎると山に登っても楽しいだけではすまなくなりそうで、少し南側にある安芸冠山に行くことにした。冠山のクルソン谷ルートは標高差が600m以上あり、登山の領域。ワカンが適している気がしたので、ワカンを携えて出かけた。

今日の駐車場所はタイヤ工場の少し上、工事通行止めの付近。日曜日で工事車両の出入りはないので林道脇に停め、そこから林道を登山口まで歩く。思った以上の積雪。先行者があるようで、複数の足跡があった。

駐車場所から15分で登山口の橋。

国体コースへの橋を見送り、谷を奥へ入っていく。

ワル谷を右へ分け、橋を渡る。

長く感じる谷筋の道。

雪景色の渓流。お湯につかって見るのならもっといいのですが(笑)。

谷を右岸に渡り、左岸に渡り返すと、オオタキに至る。

オオタキからはクルソン谷の道へ。

薄暗かった谷が、ここからは明るくなる。しばらくつぼ足で歩いていたが、何度もハマるようになってきたので、ワカンをつけた。

ワカンのクランポンが雪を切る音は、雪の山の静けさを壊すことがないのがとてもいい。これがスノーシューだとバタバタとやかましく、歩きながら音のない世界を楽しむのは難しい。

「これって、アメリカの家にあったゼネラルエレクトリック(社)の冷蔵庫と日本の冷蔵庫の違いみたいじゃない?」
「(大笑)当たっとるなー」
「やかましかったよねー、アレ。夜中にあんまりうるさくて寝られないから蹴っ飛ばしたんだよね」
ぴよが、蹴っ飛ばした」
「そ、そうでしたっけ?」(←とぼける)
「そしたら翌朝壊れとった!







            







道具というのは国情や国民性を反映すると思う。コンパクトで小回りがきき静かなワカンと、大きくて大雑把でやかましいスノーシューを比べると、そのまま日本とアメリカのモノづくりの違いが見えてくるからおもしろい。アメリカのいちばんの強みはあの国土の広大さ。そんな場所では小さなものや静かなものは必要ない(なかった)のだろう。ワカンとスノーシューのどちらかが優れているということではもちろんなくて、少々音はしてもスノーシューの方が楽しめる山はたくさんある。行き先に適した方を選べばいいということだ。ともかく今日は静かなクルソン谷を、サクッ、サクッと、登って行った。

谷を右岸に渡って登っていく。もう少しでクルソン岩分岐。

クルソン岩分岐から先のトレースは、谷を避けて左側を高巻いていた。写真に写っているのは、クルソン岩分岐からこの少し先までの間、私たちの先を歩いた山口からの4人パーティ。

国体コース合流地点の鞍部に到着。駐車場所からここまで、トレースをたどっていても2時間かかった。

鞍部を出発し、左から絡めるようにコブに登る。ここを下り始めると・・・、

行く手のずい分高いところに冠山山頂が見える。ここは冠山がフィールドのFさんオススメの景色。背景が青空ではないのが残念〜。

山頂部への急登の始まりは、背の高いブナが目印。ここから豊かな森の中に入り・・・、

急斜面をジグザグに登っていく。

1/3ぐらい登ったとき、上方に3人の人影が見えた。どうやら先頭の2人がラッセルを交代しつつ、少しずつ進んでいるが、疲れてしまってスピードが出ない様子。夫が早速「ここまで楽したんだから、ラッセル代わってあげないと」と言って、ぐんぐん登っていき、その人たちに追いついて先頭でラッセルをし始めた。え?ツマですか?ツマは三歩下がって・・・って言うじゃないですか(呆)。

先頭に小さく写っているのが夫。それまでは中央の赤い人と、写真には写っていないもう1人の男性がラッセルをしていた。

夫が先頭に出てから20分ぐらいで前方が明るくなり、山頂が近づいた。

相次いで山頂にたどり着いた人たちと話をしてみると、一緒のパーティだと思った3人はすべて単独の人たちだった。ラッセルを交代していた2人は、昔ながらの装備で行動記録をとる慣れた姿がものすごくかっこいいおじいさんと、雪山テント泊の装備一式をすべて背負った、私たちとほぼ同年輩の男性。2人とも冠山には何度も来られているようだった。この2人が作ってくれたトレースのおかげで、山頂までたどり着けた。なにもなかったらきっとまだクルソン谷のどこかで雪におぼれていただろう。

山頂から北側はこんな感じ。沢筋を歩いているときは暖かいと感じるほどだったのに、山頂部の木々はさすがに霧氷に覆われている。

懸崖の上の展望地からの眺め。今日は遠くまでは見えないけれど、モノトーンの世界もとても美しい。

少し離れて自分の足跡を見るとこんな感じ。下は崖で、どこまで地面があるかわからない。この程度で引き返しました。

キリッと冷たい空気の中で温かいランチをとって、下山にかかる。

ブナの森は上から見るのもきれい。

夫の後ろをトコトコついて行く黒い生きもの。小熊じゃないんですよ。マウスポインタを写真に置いてみてください。

このワンちゃんは、ラッセルをしていたテント泊装備の男性の飼い犬。雪の山にはいつも連れて行き、夜には湯たんぽ代わりになるのだと言われていた。引き締まった体なのに性格の良さそうな顔がとてもかわいらしい。ワンちゃんと飼い主さん、もう一度どこかの山でお目にかかりたいです。
(広島市内にお住まいだという飼い主さんへ: 勝手にワンちゃんの写真を使ってしまってごめんなさい。もしご覧になってご不満でしたらメールをいただけますか?)

登ってきたトレースをわざと外れては、浮遊感を楽しみながら下っていった。

山頂部の急斜面を下ってからは、ただトレースをたどって下りていくだけ。国体コース合流点でクルソン岩に行くかどうか逡巡。しかし今日はもう充分満足できたので、そのまま下山することに決定。(実はラッセルの苦労よりも潮原温泉のお湯を選んでしまった;; 晴れていれば違った選択をしたかもしれません。)

オオタキまで下りてきた。

そして登山口に戻る。雪の山をしっかり「登った」気がする1日だった。


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