比婆山(6)
出雲峠〜烏帽子山 スノーシュー
2007年1月14日


烏帽子山から見る御陵

地図とコンパスのイラストデータ
行程

10:30六の原…11:20出雲峠避難小屋11:3012:30烏帽子山13:3014:10休憩14:3015:30六の原

コースタイム(歩行時間) 3時間30分 (17,700歩)
同行者
その他 入浴@かんぽの郷庄原 600円/1人


登山靴のイラスト 昨年春、立山でのスノーシュー遊びが楽しかったので、冬が近づいてくると私よりも夫の方がスノーシュー購入に積極的になっていた。F相談役からの情報を元にネットで注文したMSRライトニングアッセントが届いたのが金曜日。翌土曜日は2人とも早起きができず、森山(坂町)をうろついて山に登った気になっていたが、夜になって、「せっかく届いたし、試してみる?」という話になった。

「でも雪あるの?スキー場はどこも雪不足なんでしょ」
「そういうときは新聞のスキー場情報を見るんじゃ」
「あー、そうか!」

というわけで早速新聞を取り出してみると、案の定、ほとんどのスキー場が滑走不可または「人口雪」となっている。しかし、その中で異彩を放っていたのが「県民の森」の「30cm」だった。 そこで今度はネットで西城町の積雪を調べてみると、小鳥原(ひととばら)のライブカメラで道路脇にたっぷり積雪があることがわかった。「じゃあ明日は比婆山ね!」ということで、まだ10時だというのに、即、寝る態勢に入ったのだった。

日曜日、7時半に自宅近くのセ○ンイレブンを出発。庄原でICを下りると、山に近づくに連れて田んぼの雪が深くなっていく。ただ、県民の森の公園センターまでの道路にはほとんど雪はなかった。

駐車場で身支度をして、最後にザックを背負おうとしたとき、いつもたすきがけにしているポーチがないことに気づいた。「あ!さっき行ったトイレ!!」と、慌てて公園センターに戻る。ポーチは私が使った個室からはなくなっていたが、センターのカウンターに届けてあった。 ほっとする私に向かって夫が、「とられたものがないか確かめてみろよ」と言う。

「まさか、こんなところでとる人なんかいないよ〜」と言いながらファスナーを開けてみると・・・、





     現金だけがなくなっていた。





中に入れていたものは、デジカメ、予備電池、ヘアピン、それに5000円札1枚と1000円札が2〜3枚だった。(←日帰りの山にはいつも1万円以下しか持って行かない。)その中で、本当に見事に現金だけが、最初からなかったもののように消えていた。さっきコンビニでお金を払ったのは私なので、入れ忘れたわけではない。確かに盗られたのだ。そして心あたりもあった。私のすぐ後に同じ個室に入ったスキー靴の女性にちがいない。顔は見ていないが、スキー靴のため妙な歩き方をしていたので、靴はしっかり見て、覚えていた。

かと言って、靴だけを手がかりにその女性を探すわけにもいかない。忘れた私が悪いのだから仕方がない、1万円以下だし・・・、と思おうとするが、盗られた金額の多寡よりも、こんな場所で人のお金を盗む人がいる、ということの方がショックで、しばらくぼーっとしてしまった。

若い頃からエジプトだのリビアだの、性善説を否定せざるをえないような場所で暮らしてきた夫は、「スキー場でこんなことはしょっちゅうあるよ。そこに現金があれば盗るのが人間いうもんじゃ」と達観している。私も海外生活でそのことはわかったつもりになっていた。それでも、県民の森のような田舎に来る人に悪い人はいないのでは・・・、と、なんとなく考えていたところがあった。

それに、現金が裸で置いてあったわけではない。わざわざファスナーを開けて中を確認するなんて、普通の感覚でするだろうか。私ならそのままカウンターに届けるが、そう考えるところが私の甘さなのだろう・・・。

気を取り直して六の原橋を渡り、県民の森の看板のところまで行くと、見覚えのあるスキー靴を履いた女性が、男性と一緒に看板を見上げている。「あ!」と思ったが、彼女が盗ったという証拠はどこにもない。私にできるのは、そのカップルに聞こえるように非難がましく「人のお金を盗るなんてねー」と言うことだけだった。少しでも後ろめたさを感じてくれただろうか。



山登りのみなさん、気をつけましょう。県民の森スキー場ではドロボウも滑っています。



さて、出雲峠に向けて歩きはじめると、積雪は20cmほど。つぼ足でも問題ない深さの上、先行者のトレースがしっかりついている。ただ、スノーシューを抱えて歩くのが面倒なので(←ザックにとりつけられない (-_-;;)、早いうちにはいて歩き始めた。

あえてトレースのついていない雪の上に乗り、たまに「とらばーす〜」と言いながらわざと低い斜面に乗ったりして、楽しみつつ奥へと歩いて行く。曇り空から、粉雪が降ってくる。足元はすでにパウダー状。アニマルトラックもあちこちで見られる。風がないので、寒さはあまり感じない。

出雲峠の避難小屋の前で休憩。T夫妻がスノーシューデビューした一昨年12月と比べると、驚くほど雪が少ない。(というか、あのときが驚くほど多かったわけですが。)とは言え・・・、

避難小屋からすぐの出雲峠には、ベンチを掘り出した跡がある。ここまで来ると積雪量は六の原よりもずっと多い。

出雲峠から杉林に入る。ここから山頂まで、夏道の通りにトレースがついていた。

大きなブナのあるトラバース箇所(何度も烏帽子山に行っている人ならおなじみ)で、少しばかり気をつかった。

山頂近し。この写真の直前のやや傾斜のきつい箇所で、ヒールリフターを使用。(えへへ、使ってみたかったのです。)

山頂でもそれほど風が強くないので、天候の回復を待ちつつランチをとった。一見すると積雪量はあまりないようだが、つぼ足で歩いてみると、腿まで埋まるところもある。雪不足といわれながらもさすがに比婆山・・・。

ウサギの足跡。さてどっち方向に進んでいるのでしょう?跳びはねる姿を思い浮かべてみましょう。

山頂から見る吾妻山。右手奥の猿政山のさらに右奥に・・・、

三瓶山。

こちらは牛曳山、伊良谷山、毛無山の稜線。

なんという繊細さ。

ランチ後、烏帽子山から御陵との鞍部まで下る。御陵までは行かず、そこから公園センターへと下った。しかし結局御陵の斜面を南へ南へと トラバースしたため、御陵に行ってから下山したとしてもあまり時間は変わらなかったような気がする。

下山をはじめると、登りのルートほどトレースが踏み固められていないせいだろう、パウダースノーがますますパウダーらしさを増してきた。ふわっふわっ、きゅっきゅっ、ふあっふあっ、ぐぐっぐぐっ・・・、と、浮遊感がとても気持ちがいい。


たっぷりの日もさしてきて、ただ下りてしまうのがもったいなくなってきた。

こういうときは、やはりコーヒー。アップルパイもあります。


「なんか、贅沢だよねー。こういうの」
「ほんまじゃ」
「お金を使わなくても、歩いてコーヒー飲むだけでこんなに楽しめるんだね」
「でも今日はぴよがお金を盗られたからなぁ」
「う゛っっっ! い、いいんだよー。あの貧しい(←勝手に決めている)カップルが今晩焼肉でも楽しんでくれれば・・・」
「焼肉じゃなくて、ホテルに使うんじゃないか」
「そうかねぇ・・・(←すでにオバさんなのでピンとこない)」

と、休憩後、また下山を始める。この頃には上空の雲もだいぶとれた。



下山コースから見る立烏帽子山(左)と池の段。

道後山、岩樋山方面。

杉林に入る。

「みてみて〜、昔おばあちゃんちに行くと、こういうおせんべいがあったよね」(←ノスタルジーにひたりたい気分のツマ。)
「まずいよな、あれ」(←いきなり現実的コメントのオット。)

「・・・た、たしかに。なんで青海苔にアイシングをかけるかって感じだよねー」(←玉砕。)

最後にスキー場下部に出て、下山完了。

冬の夕方の陽を浴びる六の原。今日ここに来た人はきっと誰もが楽しかっただろう、ドロボウでさえも(笑)、と確信できるような、そんな光景を後に、庄原へと向かった。


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