ラウダ山 692m
(アラブ首長国連邦 ドバイ近郊)
2003年2月7日

平原の中の突起、ラウダ山
南側から見たラウダ山

登山靴のイラスト 年末に偵察行をしたラウダ山は、ドバイからオマーンに向かっていると最初に現れる山。標高は692m。一見したところ簡単に登れそうな感じがする。四駆があれば麓まで行けるのにな〜、と思っていると、夫がランドローバーディスカバリーを(ただで)借りて来てくれた。

登山口(というものはないけど、便宜上)であるメインワディ(「本沢」、ただし涸れ沢)の側に着いたのは10時。すでに日は高く、紫外線がきつい。

決まったルートがあるわけではないし、岩ゴロの土地で踏み跡もわかりにくいので、メインワディの左岸に沿って高めに進むことにして歩き始めた。けれど支沢を渡るたびにアップダウンがあって、無駄な体力を使うような気がする。そこで3本めの支沢を下ってメインワディの底(ワディベッド)に出、そこからはワディベッドに忠実に登ることに決めた。言ってみれば「涸れ沢登り」(笑)。


巨大な岩が重なる中を登る ワディベッドは、どこまでも、どこまでもひたすら岩ゴロゴロの登り。背丈以上の段差も次々と現れ、そこをよじ登るのが面白くて夢中になる。

一見不毛のルートだけど、1月末に降った雨で植物が急に成長したのか、あちこちで生き生きとした花をつけている。酷暑のこの地では今が「夏山最盛期」なのだろう。
岩だらけのワディベッド


左右からの涸れ沢が合流する二股
【二股】
歩き初めてから1時間弱で、顕著な二股に出た。どっちに行てもあまり違いはなさそうなので、適当に(!)左俣へ。暑いのでのろのろと動くこともあって、谷が終わって広い尾根筋に出るまで、二股からさらに1時間かかってしまった。

最後の登りはだだっ広い斜面の上。周囲に何もなく、木も生えていないのがなんだかキナバル山に似ている。
彼方の砂漠を背後に岩屑の斜面を登る
【最後の斜面】


平地から突然そそり立つ絶壁の上の山頂
【絶壁の上が山頂】
登山口から約2時間で山頂。意外にも立派なケルンがある。ここからの眺めは360度。東側にはハッタ山を中心とする山脈、南にはスマイニ山とその周辺の山々、西を振り返ると赤い砂漠、そして北側は白い砂漠。やっぱり山頂からの眺めは格別。 東に長くのびる岩稜
【ラウダ山から東に連なる岩稜
奥に見えるのはブ・ファラジ山】


渦を巻くかのような不思議な形の稜線ランチをとっていると、南側からイギリス英語を話す4人パーティが登って来た。さっき私たちが二股で休んでいたとき、ちょうど登り始めるのが見えた人たち。つまり彼らはたった1時間で登ってきたことになる。速すぎ〜(*O*)

とにかくルート情報を交換し、下山は彼らが来た方向に行くことに決定。のんびりサンドイッチを食べて、暑い中熱いコーヒーを飲んでいる私たちを尻目に、彼らは写真を撮っただけですぐに下山し始めた。

【山頂から見る南側尾根は火山を思わせる形
写真奥のボーッと赤い部分が砂漠】


なだらかな南側と崖の北側
【ラウダ白馬】
下山にかかって尾根に乗ると、北側の非対象山稜がよく見える。「あれ?どこかで見たことある・・・。あ!白馬岳だー!」というわけで、勝手に「ラウダ白馬」と命名。

下山ルートはワディベッドと違って景色もいいし、馬の背状になっているところを歩いたり、狭すぎるリッジを避けてトラバースしたりと面白い。
狭い岩稜
【かなり岩稜です】


けれど調子に乗って歩いていたので、途中にあったケルンに気がついていながら、その意味を考えることなく素通りしてしまった。さらにその先で迷い子ヤギにちょっかいを出したりしながら進むうち、狭くてグズグズのリッジに出くわした。どう見ても危険。ここでようやくさっきのケルンのところで尾根をそれるべきだったことに気づく。戻るにしてはかなりの距離を歩いていたので、仕方なく急な斜面を三点確保で下る。傾斜が緩むまで緊張の30分間だった。

山頂から2時間強で登山口に到着。地図がないので先が読めず、ルートのとり間違えもあったけど、UAEに来て初めてのピークハンティングはなんとか成功に終わった。


☆ 管理人よりひと言 ☆
この地域の山では、日本のように「ガスに巻かれる」とか「樹林帯に迷い込む」といった危険はありません。しかし、それでも安全に登るには、ある程度の山登りの経験が必要です。最低限の条件として、「尾根」、「谷」といった地形を読めること、山での歩き方を知っていること、しっかりした登山靴を持っていること(スニーカーは危険です)。これらの条件を満たせない方は安易に入山すべきではありません。このページを読んで、ラウダ山に限らずこの地域の山に行ってみようと思われる方は、あくまでも自己責任でお願いします。

おまけ 「もうちょっとラウダ山」

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