常念山脈(パノラマ銀座): 紆余曲折の北アルプス デビュー

槍穂を見つつ歩く
【蝶ガ岳ヒュッテから蝶ガ岳へ(赤いのがワタシ)】
4日間で歩いた山々
     長塀山     2564m
     蝶ガ岳     2664m
     常念岳     2857m
     横通岳     2767m(巻き)
     東天井岳    2814m(巻き)
     大天井岳    2922m
     燕岳       2763m


山のイラスト最初の予定は白峰三山、台風の影響で延期 

白峰三山行きたい!そう思って準備をすること数ヶ月。北岳登頂予定日(9月9日)の5日前になって、天気図に不気味な台風15号の姿が・・・。小笠原のあたりから、東海、関東めがけて北上の様子。「頼むから東にそれてー」という願いもむなしく、次第に北上してくる。「来るなら速く来い、速く。そして登る頃には台風一過になってー」と願いの内容を変更したのを知ってか知らずか、台風は時速10kmだの15kmだのというのんびりモードで動いてじれったい。そうこうするうちに週末。出発予定日の9月7日(金)には九州の南に台風16号が発生してしまった。いくらなんでも不確定要素が2つもあるのに出かける気にはならない。「だからこの時期はイヤだったのよー」と言いながら、いったん延期を決定。9月11日(火)夜に出発し、北岳には13日に登ることになった。


山のイラストセカンド・オプションの検討を開始

週末の間も台風はずっとノロノロとしか進まない。出発前日の9月10日(月)になってもまだ海の上。気象情報は、「今夜半ごろ、東海地方に上陸するでしょう」と言い始めた。「うーん、これはちょっとアブナイ。行き先変更した方がいいかも」と、夜になって『槍・燕を歩く』のガイドブックをひっぱり出し、常念山脈についてとりあえず概念を得ておく。それでもこの時点ではまだまだ頭の中は「北岳モード」。「たぶん夜のうちに上陸して、明日のお昼ごろには去ってくれてるよ。登るのは13日だし、きっと大丈夫」と期待しながらベッドに入った。


山のイラストついに行き先変更、南アルプスから北アルプスへ

出発予定日の9月11日(火)、台風は思いっきりノロノロ進んだ末、今朝になって上陸。「うわー、ほとんど直撃コースじゃないの〜。なんでこうなるかなー。」 テレビでは大雨だの風だのと騒ぎ始めた。私たちの予定は、今夜静岡まで行き明日甲府から広河原に入るというもの。(9月に入ると甲府〜広河原のバス便が少ないため、広島から1日で広河原にたどりつけないのです。)登るのは明後日だから今夜静岡まで行って様子を見てもいいけれど、明日甲府や広河原に行けなかったらばからしい。インターネットで台風の影響を調べると、JR身延線の特急(静岡〜甲府)は今日は全部運休。山梨交通に電話をしてみると、甲府から広河原へのバスも全部運休。「明日はどうですかね〜」と尋ねると、「明日はまず林道に調査を出します。その結果次第なので、わかりませんね〜」ということだった。

南アルプスがだめなら北はどうだ、と、JR中央線、大糸線、松本電鉄の運行状況を尋ねてみると、こちらは影響がない様子。不確定要素を抱えているのにはいいかげん疲れたし、いっそこっちにしてしまおう!と、常念山脈行きを決定。意外な展開にはなったけれど、もともと「北アに行くなら まずは燕〜常念かな」と思っていたので、案外素直に北岳モードを脱出。夜の出発に向けて準備を開始した。


山のイラスト計画と準備で大忙しの半日

常念山脈のコース概念はガイドブックでだいたい得ていたものの、北岳モードになっていたので具体的なことは何も考えていない。その上、地形図も手元にない。これはものすごく不安。「まずは地図を買いに行かなくては!近いのはJ堂だけど、あそこは人気エリアの地図がないことが多い。確実に手に入れられるのはC書店だ!」と忙しく頭を働かせ、速攻で家を出る。ついでにコピーすべき資料もバッグの中に押し込んだ。

しゅぱぱっと2.5万図を手に入れ、新幹線の中で食べようと「むさし」の「若鶏むすび」(笑)まで買って家に戻ったのが午後2時ごろ。早速磁北線を引き、コースをなぞってみる。まず決めなくてはならないのは、中房温泉から入るか、上高地から入るか。下山後の温泉と帰りの速さを考えて、上高地から入ることに決めた。

次は松本までのアクセス。最初に考えたのは、夜名古屋まで行き、翌朝名古屋から松本〜上高地という案。けれど、ふと去年の『ヤマケイJOY』に北アルプス特集があったことを思い出しパラパラとめくってみると・・・、「大阪から夜行急行『ちくま』がある」という記事。 「おー、これは!」と、一瞬目の前が明るくなる。インターネットで調べてみると、ちゃんと毎晩動いていることはもちろん、今夜の空席状況までわかってしまった。

松本までのアクセスに不安がなくなり、明日の朝一番で歩き始められることが決まると、やっと少し気分的に余裕が出てきた。ほっとしてシャワーを浴び、午後6時半頃広島駅に出発。


山のイラスト新幹線から「ちくま」の人へ

広島駅発の新幹線は、スーツ姿のビジネスマンでいっぱい。その中で、登山靴をはいてザックを背負った私たちの姿はものすごく浮いている。「これも松本までの辛抱だ!松本に行けばご同輩がたくさんいるに違いない」と思ってシートに体を沈め、「むさし」のおむすびを食べつつ新大阪へ。

「ちくま」は新大阪駅を午後11半すぎに出発。夏山と紅葉シーズンの端境期の上ウィークデイとあって、車内はガラガラ。ありがたいことに大声でおしゃべりをしている人もいないので、洗面をすませると早々に眠る態勢に入ることができた。名古屋を過ぎると車内放送もなくなり照明も落ちる。中津川、上松、木曾福島・・・と、次第に山深く入っていくのを夢うつつで感じながら、松本へと運ばれて行った。(その時間にアメリカであんなに大変な事件が発生していようとは・・・。)



(「常念山脈第1日」へ)


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