大箒山 1013m 〜 床尾山 990m 残雪期縦走
(大箒山南西尾根〜大箒山〜A峰〜B峰〜956mP〜C峰〜D峰〜床尾山〜床尾山北西尾根)
2012年4月1日


大佐山山頂から見る大箒山(左)〜床尾山

地図とコンパスのイラストデータ
行程

9:20駐車場所…10:15コブ…10:35コブ…10:40 930m台ピーク10:45…11:05大箒山山頂11:55…12:25A峰…12:50B峰…13:00 956m…13:33D峰…13:40D峰/床尾山鞍部14:00…14:12床尾山14:17…15:25林道…15:42林道分岐15:47…15:55駐車場所

コースタイム(歩行時間) 5時間10分
同行者
その他 入浴@ひまわり 300円/1人


登山靴のイラスト 山頂部がぽこんと突き出ている大箒山は、標高は1000m余りで高くはないが、どこから見ても目立つ山で、一度は登ってみたいと思っていた。それなのにずっと敬遠してきたのは、どの記録を見ても「藪」だの「わかりにくい」だのと書いてあって、はっきりしたイメージを掴みにくかったからだ。

2月に温井スプリングス(って、いま違う名前のような気もしますが・・・)のお風呂に入りに行き、前衛峰の背後から覗くその存在感あふれる山容を滝山橋から見て、やはり登りたくなった。この山は周囲を林道が巡っている。温井側から取り付くにせよ、松原側からにせよ、林道の雪が溶けないことには近づくことができない。(長い林道歩きを厭わない人を除いて。)

そこで今冬の最後の目的地としてこの山に行くことにして、林道の雪が溶けるのを待った。地形図を見ると、山頂の南西側に見事な尾根があり、雪があれば登れそうに見える。もし雪がなくても、春先なら藪も濃くないからたぶん歩けるだろう。

というわけで計画したのは、オオボウキ谷とオオブナ谷の出合い付近から尾根に乗り、930m台小ピークを経て山頂へ、その後谷を渡って隣の尾根に移りA峰からD峰へ南下。D峰で向きを変えて床尾山の山頂を踏んだ後、床尾峠へは下らず、床尾山から北西に延びる尾根を下りるというもの。この下りの尾根もすっきりと延びていて、雪のあるなしに関わらずあまり迷う余地はないように見える。下りきったところに林道があり、周回ルートになる。(下にGPSロガーの軌跡を載せています。)

虫木トンネルを北に抜け、すぐ左手にある分岐から、松原林道に入る。車で行けるところまで行こうと進んでいると、掘割を越え、林道の分岐まであとわずかの地点で雪のため進めなくなり、その付近に駐車。

そこから歩き出すと、数分でこの写真の林道分岐に至る。ここには橋がかかっている。左側がオオボウキ谷、右側がオオブナ谷。

橋を渡ってオオボウキ谷の左岸を歩き(黄色い矢印)、適当なところで登路に選んだ右側の尾根に取り付くことにした。うまくいけば、ぐるっと回ってここに戻って来られるはず(赤い矢印)。

オオボウキ谷を遡る。

右側の斜面の傾斜が緩んだところで、尾根を目指して登り始めた。

最初の小ピークに乗った。行く手にピークのように見えているのが次に目指すところ。山頂でもなんでもありませんから(笑)。





小ピークから、今日後半のルートを遠望

今日はここから左(北東)へ進み大箒山の山頂を極め、
いったん下ってこの写真の奥に見えるなだらかな尾根に登り返し、
左から右へ縦走して床尾山へ。そこから写真の
伐採地と植林帯との境目の尾根を下る予定。
つまり大箒山と床尾山の間にあるサル谷をぐるーっと回ることになる。

正直に言って、午後の目的地があまりにも遠いのを見て、
ちょっと腰がひけてしまいました(笑)。




小ピークからしばらくは「道なのか」と思うほど歩きやすかったが、
鞍部から登り返していくと、笹藪は濃くなり、傾斜は胸突となり、
とんでもない登りになってきた。

写真は見下ろしたところ。夫のいるところから真っ直ぐ登ります。
この斜度だと雪があると逆に滑って登り難いかもしれません・・・。



笹を漕いで小コブに至ると、ようやく傾斜が緩む。

小さなアップダウンを繰り返して尾根上を歩いていくと、930m台小ピークに至り、ようやく大箒山の姿を捉える。

930m台ピークから気持ちのいい鞍部に下り、山頂目指して登り返す。

鞍部からの尾根筋はこんな感じ。雪があれば最高のルートになりそうなのですが、雪がある時期に登るには、長い長い林道歩きがセットになるから時間的に難しい。

930m台ピークから20分ほどで大箒山山頂に到着。
三角点周辺は展望がないが・・・、





北側の尾根を少し下るとこんな展望が得られた。
左から臥龍山、掛頭山、大佐山。




左から掛頭山、大佐山、大潰山(柏原山)




スキー場のある掛頭山を拡大するとこんな感じ。
まだ雪がたっぷりありそうです。



山頂から、次に目指すA峰を眺める。

コンパスを振り、鞍部へと下る。『西中国山地』によれは小湿地だというこの鞍部は、とても気持ちのいいところだった。

鞍部から少し登り返すと、右側に山道がトラバースしているのが見える。(写真の雪がついているところ。)これが『西中国山地』に書かれているところの「鉄の輸送路」だろう。これをたどってしまうとA峰を通らないかもしれないので、斜面を直登し、A峰を目指した。

こちらがA峰。標識のようなものがあるが、とても古く、文字を読みとることはできない。

A峰から振り返る大箒山。

A峰からは南に進。明らかに踏み跡とわかる窪みがあり、尾根を見失わないようにその上を歩く。しかし踏み跡通りにたどっているとB峰をスキップしそうな気がしたので適当なところで尾根上に戻り・・・、

B峰を通過。左側(東側)に尾根が派生しているので、それと確認できる。

そのまま尾根上を進む。若干藪はあるものの、とくに苦労せず歩ける。

なだらかで広い尾根筋。コンパス必須。

956mのコブを南側から撮った写真。

続いてC峰。

倒木帯を越え・・・、

D峰への登り。C峰からD峰までは途中に顕著な何かがあるわけでもなく、長く感じる。

D峰に到着。ここで西に向きを変え、床尾山(写真奥の稜線)を目指す。
A〜D峰までは標識があるわけではないので(テープはある)、それぞれのピークを自分で判断するしかない。D峰まで来れば南側は尾根が途切れているので、間違えることはない(はず)。

D峰と床尾山との鞍部は、陽光あふれる気持ちのいい雪原だった。ここでコーヒータイム。

登り返して床尾山三角点に至る。展望なし。

床尾山から、北西の小ピークにコンパスを振り、緩く下る。

登り返す。そして・・・、




思わず声を上げる展望が待っていた。
伐採地からの深入山と、ホワイトバレー松原スキー場。




次の小コブからはさらに展望が広がる
左から深入山、臥龍山、掛頭山、大佐山

この山々の連なりをこの方向から見られる場所は他にあまりないだろう。
『西中国山地』には、「大平山」の項に
「深入山、苅尾山(臥龍山)を東側から眺めることができるのは
この山頂しかないと言える」と書かれている。しかし伐採が進み、
大平山まで行かなくてもこの大展望が得られるようになったのではないだろうか。
思いがけない展望に、今日のルートを選んだことが報われた思いだった。




深入山を拡大
右側がトンガリ山




臥龍山を拡大
2月に登った南面ルートの尾根がよくわかる。




掛頭山と大佐山を拡大



そのまま尾根上を下る。
なんだか信州にでも来ているような眺めです。

植林帯に入ると、とたんに方向がわからなくなる。尾根地形が消えたのでおかしいと思い、立ち止まって下るべき尾根を確認し、矢印のように軌道修正して尾根に戻った。

尾根はこんな感じ。なんというか、まあ藪です(笑)。

比較的わかり易い尾根なので、コンパスを振っていればあまり悩むようなところはなかった。

下りきってオオブナ谷を渡ると、林道に乗る。すぐに右側からサル谷の流れが合流し、沢の左岸を歩き、途中で橋を渡って右岸へ。そして、無事林道分岐に戻ってきた。

ツマの分もスパッツ(ゲイター)を洗う夫。マメな人だ(笑)。
残雪期は雪だけではないから、あちこちに泥がつくのが難点。

ただ今日はその汚なさを差し引いて余りある充実した縦走路と大展望に、充足感の大きい1日だった。



この軌跡には2箇所捕捉しきれていない箇所があります。
(1) 最初からオオボウキ谷の左岸を歩いたのに、右岸を歩いて渡ったことになっている  
(2) 大箒山とA峰の鞍部では小ピークの南側を歩いたのに、北側を歩いたことになっている

これがレシーバの性能によるものか、
地形や植生の影響で衛星を充分に捕促できなかったためか、
それとも現在10mと言われるGPS自体の誤差範囲なのかはわかりません。

少なくとも言えるのは、GPSの表示をうのみにすることはできないということです。
やはり地図コンパスによる読図は基本。それができなければ、
GPSの軌跡が正しいかどうかの判断もできませんから。

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