十方山(5)
瀬戸滝側コース往復 スノーシュー
2008年2月16日


遭難碑のピーク付近から見る十方山山頂部
(矢印の白いピークが山頂)


地図とコンパスのイラストデータ
行程

10:00立野野営場入口…10:15登山口10:3010:38瀬戸滝分岐(下)…11:24徒渉地点…11:40第二徒渉地点11:5012:50遭難碑のピーク周辺13:0014:50十方山山頂15:0516:05遭難碑のピーク…16:25休憩16:3016:50徒渉地点…17:20登山口17:3017:50立野野営場入口

コースタイム(歩行時間) 6時間45分
同行者
その他 入浴@スパ羅漢 800円/1人


登山靴のイラスト 先週、三瓶山で深雪の中、標高差550mを登り、「もうちょっといける・・・」と思った。そこで今日は十方山に登ることにした。

と、簡単に書いているが、やはり冬の十方山に登るには相当の覚悟がいる。ラッセルに時間をとられて時間切れになったり、山頂部の視界がなかったりしたら絶対に引き返そうと決めて、少し緊張しながら吉和へと車を走らせた。

スキーヤーやスノーボーダーで賑わうめがひらスキー場を横目に、最後の民家を過ぎて立岩ダムへと向かう。立野野営場から先は除雪がされていなかったので、野営場入口に駐車。ちょうど私たちが車を停めているとき、10人ぐらいの年配のみなさんのパーティが、列を組んで出発して行った。全員がワカンを持ち、ウェアのくたびれ具合にも百戦錬磨の趣がある。しっかりしたトレースが期待できそう!

瀬戸滝登山口までは車道を15分。雪はかなり深く、車高の高い車でも入れそうになかった。うちの愛車も入れませんでした。

登山口はこのトイレの建物に向かって右側。

トラバース道を登っていくと、すぐに尾根に乗る。

尾根筋をじぐざぐに登り、今度は斜面を右にするトラバース道となる。このあたりはツボ足でも充分歩けた。

小さな尾根を乗っ越すと、行く手にこれから入る谷筋が見えてくる。この谷を右に登る。

最初にトレースをつけた人は少し緊張したであろう左岸(写真では右側)のトラバース道を進み、谷の奥へ。前方に見える小さな滝の上で右岸に渡る。

右岸に渡ると、ワカンのトレースがしっかりとついていたので、引き続き有り難く利用させてもらう。雪質が少し変わって軽くなってきた。この右岸の道は無雪期には岩を越えたりしてけっこう歩きにくいところだが、雪の上だと歩きやすい。しばらく谷の奥に入っていき、写真の箇所でふたたび左岸に戻る。

左岸に戻ったところで休憩。このあたりまでは青空も見えていたのですが・・・。

尾根を右にして登って行くと、小さなコブのところで、先行していたはずの年配のパーティのみなさんのトレースが突然消え、細々としたワカンの踏み跡のみとなった。どうやら百戦錬磨のみなさんは雪が深いので引き返した様子。(でも出会わなかったのは謎です。)

尾根の東側のトラバース道へ。いつものブナの木。

やがてしっかりした尾根上の道になると、右手遠くに山頂部が見える。ここでコンパスを使って現在位置を特定。このことが次の小ピークで役立った。

尾根上の道。気持ちよさそうに見えるが、実際は西から吹き付ける風で舞い上がる雪が地吹雪のようになり、けっこう消耗する。

尾根道の先には、遭難碑のある三ツ倉小ピークがある。ここは無雪期には尾根の東側の急な斜面をトラバース道が通っているが、先行者のトレースは、安全を考えてだろう、そのままピークへと登っていた。私たちもトレースをたどってピークに乗ると・・・、








トレースが消えていた。









風で飛ばされた雪がトレースを消してしまっていたのだ。そのまま尾根上を10mばかり下ったところで、夫も私もほぼ同時に「この方角は違う!」と気がついた。さっき山頂の方向を記憶させたコンパスで確認すると、やはりとんでもない方角に進もうとしている。そこで小ピークに戻り、地図も見て進むべき方角を確認。

実はこの遭難碑ピークでは、夏期にも同じような失敗をしたことがある。そのときは、このピークの手前の直登ルートとトラバース道との分岐で、

「登って行こうよ〜」(←できるだけ尾根通しで歩きたいツマ)
「オレはこっち(トラバース道)に行く」(←楽ができるところでは積極的に楽をするオット)

と意見が分かれ、「それじゃ後で合流ね」と言って別れた。

そして、ピーク上で遭難碑を確認した私はそのまま尾根道を進んだ。夫とはすぐに鞍部で合流できるはず、と思いながら・・・。しかし、笹がうるさい尾根を下りて行っても、なかなか鞍部らしきところに出ない。すぐ近くにいるから聞こえてくるはずの夫の熊鈴の音も聞こえない。それで自分が違う尾根に乗っていることに気がつき、引き返してピークを北に下り、無事夫と合流できたのだった。

このときの経験と、ついさっきコンパスを山頂に合わせていたことで、今回は難を逃れることができた。改めて2.5万図を見ると、このピーク上で登山道の向きが変わっているのがわかる。地図を見ているだけではそれほど大きく向きが変わるようには見えないが、現地の感覚ではほとんど直角に曲がるような感じがする。とにかくこの三ツ倉遭難碑のピークは、とくに冬期には要注意です。 


三ツ倉のピーク。遭難碑はもちろん雪の下。

遭難碑ピークから、とても急な尾根を滑りながら下り、先へと進む。雪はどんどん深くなってくる。

深い雪にスピードが落ちてくる。先行しているワカンの人のトレースがあるからなんとか進めるが、トレースがなかったら、ラッセルでものすごく時間をとられるだろう。

やがて小さなコブの右側をトラバースする箇所で、その先行者に追いついた。そのコブの先で再び稜線に乗ると(写真)、しばらく傾斜が緩む。

このあたりは私でもラッセルできそうだったので、少々頑張りました。

そして疲れた私に代わって今度は夫が先頭に立ち、山頂(矢印)まで最後の登り。夏道はこの写真の左側の樹林帯を通っているが(と言ってももちろん雪の下で、見えるわけではない)、こちらの方が進みやすい。ただあまり山頂ばかり目指していると、結局谷に当たるので、左側へと微妙に向きを変える必要がある。

すぐに疲れてしまった夫(-o-;; に代わって、ふたたび先頭交代。山慣れたその男性の姿を見て、私の頭の中には「ラッセル隊長」という言葉が浮かんでいた。

いよいよ山頂部に出る。谷に向けて雪庇が張り出しているので、ここで稜線へと軌道修正。

山頂部は風が強いのだろう、それまでよりも雪が少ない。またクラスト化しているため、沈むこともあまりない。

十方山のモンスター。

山頂に到着。野営場入口からここまで、短時間の休憩を入れて5時間近くかかった。振り返ると、この通りホワイトアウトに近い状態。とにかくまずコンパスを帰りの下りにかかる箇所にあわせておく。その間にも、スノーシューの踏み跡が見る間に雪に覆われていく。

横なぐりに近い雪の中、ラッセル隊長のM野さん(湯来町)と。M野さんの足元は木製のワカン(!)。もう40年登っておられるそうです。



M野さん、ご覧になっているでしょうか。勝手に写真を掲載させていただきました。もし不都合でしたらすぐに削除しますので、メールをください。

山頂では紅茶を飲んだだけで、M野さんよりも先に下山を開始。トレースが消えているところがあり、コンパスを頼りに軌道修正しつつ、どうやらトレースがしっかり残っている場所まで下りてきた。

朝から行動食を少し口に入れるだけで、ほとんど何も食べていない。しかしすでに4時近くなっているので、追いついて来られたM野さんと共に、とにかく先に進む。遭難碑のピークへの登り返し(写真)は、思ったよりも楽だった。

登りで山頂の姿をとらえた場所から、同じように山頂方向を見ると・・・、

いや〜ん(-_-;;

ようやくブナの木まで戻ってきた。ここまで戻ると少し安心する。

谷を下る。今日の行程でスノーシューの限界を知った。遊歩道のような幅があるところならスノーシュもいいが、狭い範囲で急坂を登り続ける本当の山登りには、やはりワカンの方がいいような気がする。

トラバース道へ。日の平山(2.5万図の立岩山)を見つつ下る。


降りしきる雪の中、登山口に到着。
ここから立野野営場までの20分間は、疲れもあって長く感じた。

厳冬期の標高差800m(駐車場所から山頂)。歩行時間6時間45分、行動時間7時間50分。それもM野さんのラッセルに助けられてのこと。十方山は、しっかり「冬山」であり「雪山」の領域だった。夫と私が先達もなく入れる冬期の山としては、いまの時点ではここが最高レベルだろう。次はT技術本部長(ぽち隊長)、H子計画副部長、そしてF相談役と登ってみたいものです(←ラッセル要員として期待!)。


風呂桶のイラスト 今日のおフロは、混雑していそうな潮原温泉を避けて、スパ羅漢まで下る。雪の中の露天風呂。腰痛持ちの夫は雪の上に寝ころんではお湯に入るのを繰り返したといい(@o@)、「最高の交代浴ができたー」と喜んでいた。

今日のコースの夏の様子はこちらのページの瀬戸滝以降。
↑これを見ていると、
「夏もいいなぁ、すぐにでも登りたい」と思うのです(←ビョーキ)。


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