名山というのは、その頂に立って周囲を鳥瞰するのも、それはもちろん素晴らしい気分だけれど、その姿を周囲から眺めるのも、山頂に立つときと変わらず心が弾むものだ。たとえば言うまでもない富士山が然り。北アルプスのどこからでもまごうことなくその姿を特定できる槍ヶ岳も然り。中国地方で言えば、見る方向によって違う山かと思うほど姿が変わる伯耆大山もそんな山のひとつだ。 まして八ヶ岳のように長い稜線を持ち、その両側に広大な裾野が広がる山となれば、あらゆる方向からその姿を見てみたいと思うのは、山が好きな人なら誰しも共通した思いではないだろうか。 昨年、秋が深まる頃に清里に行ったのも、母が言う「八ヶ岳の小海線側を見てみたい」という興味が100%理解できたからだった。そのときは残念ながら肝心の希望を10%程度しか果たせないまま帰ったが、もともと今年のゴールデンウィークは北横岳か蓼科山に登ろうと考えていたこともあり、半年を経て、ついでにもう一度清里へ行くことにした。今回はレンタカーを借りて、茅野から反時計周りにぐるっと八ヶ岳を一周する計画。 |