5年ほど前に木曽駒ガ岳に登ったとき、山頂から南西の方角に、まるで独立峰のように堂々とした山容を見せる三ノ沢岳の格好良さに惚れた。縦走途中でついでに登れる山ではないので、ここを主目的とし、加えてもう一度泊まりたかった頂上木曽小屋を第二の目的地として、1日+数時間の計画を立てた。 |
データ | |
行程 | 8月4日 6:05千畳敷…6:30極楽平…6:40三ノ沢岳分岐6:45…7:50ケルン7:55…8:15三ノ沢岳山頂8:40…9:00ケルン…10:25三ノ沢岳分岐10:35…11:05宝剣岳11:10…11:25宝剣山荘11:45…11:55中岳12:00…12:25木曽駒ガ岳山頂13:40…13:45頂上木曽小屋 8月5日 6:50頂上木曽小屋…6:55木曽駒ガ岳…7:15中岳…7:25浄土乗越…8:10千畳敷 |
コースタイム(歩行時間) | 4日: 5時間10分 5日: 1時間10分 |
同行者 | 単独 |
その他 | タクシー 駒ヶ根市〜しらび平 5,000円 駒ヶ岳ロープウェイ往復 2,200円 頂上木曽小屋(1泊夕食のみ) 7,000円 バス しらび平〜こまくさの湯 800円 バス こまくさの湯〜駒ヶ根市 410円 |
中部山岳地帯の天気に影響する北陸東北の梅雨明けが発表になったとは言え、天気図を見ると気圧配置は前日までと変わらず、梅雨明けの晴天を山で期待するのは無理な様子。ガスに巻かれる前に10分でも20分でも早く歩き出したい。そこで前泊していた駒ヶ根のホテルからタクシーに乗り、5時前に出発。駅前から出るバスの始発よりも早いのでバスの乗客よりも早くしらび平(ロープウェー乗り場)に着けると思っていたら、タクシーに乗るなり、「いまさっき臨時のバスが2台ほど上がっていったよ」と運転手さんに言われる。しかし幸いその2台をしらび平への登り坂で追い越し、ロープウェー乗り場に並んだのは5時半前。ロープウェーの始発も本来は6時だが、臨時便で5:35始発となり、一番乗りで千畳敷に降り立った。 |
三ノ沢岳へは、サギタルの頭の真下にある駒ガ岳神社の前を左折。斜面を主稜線へと登っていく。 ちなみにカール内遊歩道はここを右折。それなのに、歩き始めると早速、間違って左へ進んでいる観光客に追いついた。後ろから聞いていると、「こっちへ歩けばぐるっと回れるんじゃないか」と話している。そりゃあね、回れますよ。イワイワの宝剣岳南陵を越えればね。というわけで、正しいコースを教えて差し上げた。 |
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極楽平への道沿いもコバイケイソウが盛り。 | |
主稜線に乗ったところが極楽平。向こうに三ノ沢岳が見える。青空なれど早くも気になる雲が・・・。 | |
三ノ沢岳へは写真の右側の尾根を登る。岩峰をいくつか越え、最後は南側をトラバースして山頂に至る。 この山を左に見ながら主稜線を10分ほど北上すると、左手に三ノ沢岳への道が分岐する。 |
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分岐からハイマツの間を緩く下り、この岩コブの左側を巻いて下っていきます。 |
後方から左手にかけて、中央アルプス主脈の山々が連なる。コンパクトなイメージが強い中アだけれど、実際身を置いてみると、北アや南アに負けない山の大きさを感じることができる。 | |
ハイマツの中の狭い切り開きを登る。すれ違い困難。今朝は私が一番のようで、前後は無人。すれ違う人もなし。 | |
やがて足を上げるのも苦労するような、大きな岩が重なる登りになる。 | |
急登、続きます。 | |
短いけれど斜度の大きい登り。これを越えると傾斜が緩む。 | |
ハイマツの海の中・・・。すっかりガスに包まれてしまった。 | |
ケルンを過ぎると、ふたたび登りとなり・・・、 | |
三ノ沢岳の北東肩からトラバース道に。 | |
トラバース道の周囲は素晴らしいお花畑だった。ハクサンイチゲ、チングルマ、コバイケイソウの白にシナノキンバイの黄色、そしてハクサンチドリの紫がアクセント。 | |
大群落で咲くのは数年に一度のコバイケイソウ。今年はアルプス全域で咲いているようです。 | |
山頂手前に残る雪。 | |
残念! 山頂はガスの中でした。(って、さっきからずっとガスの中・・・。) ここから見る中ア主脈の山々を楽しみにしていたのですが・・・。分岐から1時間半で来られたので、また来よう! |
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山頂から引き返すと、登ってくる人たちと次々にすれ違うようになった。日帰りできるから人気のようだ。 写真はいちばん急な岩峰の登りを振り返ったところ。 |
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この写真は三ノ沢岳・・・、 ではなくて、帰り道に越えなくてはならない岩峰です(-o-) |
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次の岩峰。下った分は登り返さなくては。。。 |
南側の谷筋にはコバイケイソウの大群落。
咲いたばかりで真っ白。
三ノ沢岳分岐が見えてきた。まだ10時前。このまま極楽平から千畳敷に下りて帰ることもできるけれど、今日は分岐で左折。宝剣岳南陵を越える。 |
分岐まで戻って、岩稜に入る準備をしていると、極楽平の方から一組の夫婦がふらふらと歩いてきた。いかにも頼りなさそうな表情で分岐の標識をじっと眺めている。そして私に向かってひと言。 |
「ここは・・・、 どこですか?」 ( ゚ ▽ ゚ ;) は? はい? |
(ワタシ)「三ノ沢岳分岐ですけど」 (観光客)「そ、そうなんですか」(と、周囲を見回すも真っ白) 「どこまで行かれるんですか?」 「えっと、木曽駒の方へ」 「・・・(>。<)」 やはり「一周できる」と思って極楽平へ登ってきた観光客の人たちだった。 (ワタシ)「(宝剣岳の方を指さし)、こっちへ行けば木曽駒には行けるけど、岩だらけですよ。大丈夫?」 (観光客)「・・・(どういうことか理解できていない様子)・・・」 結局彼らは極楽平へ引き返し千畳敷へ下りるという懸命な判断をしたようだった。それにしても「ここはどこですか」という台詞を自分が聞くことになるとは思わなかった。朝一番に出会った夫婦といい、これだから観光客が簡単に入れる山域はいけません。世界遺産になってしまった富士山も同じ。 さて、気を取り直して宝剣岳南陵に取り付きましょう。 |