三瓶山(7)
北の原〜女三瓶〜男三瓶〜北の原
2009年2月15日


北の原から見る女三瓶〜男三瓶の稜線


地図とコンパスのイラストデータ
行程

9:20青年自然の家駐車場(登山口)…9:30ワカン装着9:40…(約15分ルート探索)…10:05西の原/北の原分岐10:10…10:25男三瓶分岐10:35…11:15休憩(女三瓶北尾根)11:20…11:35女三瓶山頂12:15…12:30兜山…14:10男三瓶山頂避難小屋14:45…14:50男三瓶山頂14:55…(15:10谷筋へ…15:40引き返す)…16:00休憩16:05…16:45変則四差路16:55…17:20西の原/北の原分岐…17:35登山口

コースタイム(歩行時間) 6時間10分
同行者
その他 入浴@国民宿舎さんべ荘(宿泊)


登山靴のイラスト 昨年の三瓶山での「深い新雪で前に進めない」体験の楽しさが忘れられず、今年も2月中旬のいちばん寒い時期に三瓶山を目指した。







いちばん寒い・・・、















って、寒くないんですけど(笑)。










これまでどんなに暖冬と言われた年でも2月前半にはかならず雪が降っていたと思うが、今年は一体どうしてしまったのだろう。赤名峠を越えると田んぼには1月中旬の雪が残っていたものの、道路には雪どけ水があふれるほど流れ、北の原までの道も、チェーンどころか冬タイヤすら必要のないドライブだった。

東の原から見る女三瓶。斜面の雪はもうほとんど消えて、スキー場も先週で閉鎖したと聞いた。

今日の予定コースは昨年春にSさんと歩いたのと同じ。駐車場にもまったく雪のない青年自然の家を出発。写真は駐車場を出てすぐの登山口。

登山道に入るとさすがに雪が積もっている。しかし、一昨晩に大風が吹いたためだろう、倒木や落ち葉できれいな雪面は期待できそうにないし、トレースもわかりにくい。

最初はツボ足で歩いていたが、はまり方が不規則で疲れるので10分ほど歩いたところで早速ワカンをつけた。つけ終わって歩き始め、しばらく進むうちに堰堤が連続する谷筋を横に見て登っていくことになった。女三瓶に行くなら堰堤が出てくるはずはない。そういえばワカンをつけて立ち上がったときに方角を確認しなかった。地図を見て違う方向へ進んでいることに気がつき、ワカンをつけたところまで引き返す。約15分間のロス。駐車場を出発するとき男/女三瓶分岐近くのトイレにコンパスをあわせておいたので、今度は間違えないようにその方角へ歩き始める。

最初の分岐。ここで姫逃池方面へのトラバース道(右)と、男/女三瓶方面への道が分かれる。

男/女三瓶分岐で左折。女三瓶方面に進む。この方角は誰も歩いた跡がなかった。

分岐付近の林は、2月とは思えない春のうららかな日ざしの中。

トイレでコンパスを調整しなおし、谷の左岸をトラバースで登る。昨年歩いているので様子がわかり、不安を覚えずに歩けた。写真奥で左に谷を渡り、しばらく尾根を登って、杉林に当たったところでもう一度左に谷を渡り、そこから尾根筋を登っていく。

すると小さなコブを越えて、急な登りとなった。ここを登りきると、女三瓶につながる尾根に出る。

尾根に出て右折。急傾斜をぐいぐい登っていくと・・・、

男三瓶が見えてきた。

振り返るとこんな感じ。北の原とその先の大展望が広がる。


女三瓶山頂部の北端付近から眺める男三瓶への縦走路

昨年春にもほぼ同じアングルで撮りました。
このページの中ほどです。

大きな男三瓶を横目にしつつ、縦走路分岐まで進む。

縦走路分岐の展望台から眺める子三瓶、孫三瓶と、室内の池。

こんなに暖かいのに池はまだ凍っているらしい。

縦走路に入る。行く手に見えているのが兜山。ずっとこれくらい雪があればいいのだが・・・、

これだもの(-_-;;

兜山山頂から眺める男三瓶。雪、少ないですね〜。

ユートピアに至る登りの一部。
えーっと、いまは4月でしたっけ?

雪があったりなかったり、中途半端な縦走路を登ってたどり着いたユートピア。一面の雪原で、他の季節よりもさらに広々としている。

ユートピアから先は やせ尾根となる。写真は振り返ったところ。

室内を見下ろすとこんな様子。

尾根がとても狭くなる場所。この先、右上の雪のある方へトラバースとなる。

振り返ったところ。下の方に見えているのがユートピアと女三瓶。

ここから先のトラバースは急傾斜。しかも緩んだ雪が滑りやすく、ひやりとすること数度。夫が足を置くところを指示しようとしてくれているのに、「い、いま話しかけないでっ!集中したいから」 などと言ってしまう恩知らずなツマ。尾根ぞいの方が安全かと思って偵察してみたが、とんでもない(汗)。ここから山頂直下の犬戻しにかけて、雪がなければほんの10分程度の距離なのに、40分近くかかったと思う。本当の厳冬期だったら、私たちの技術ではとても無理でした。次はT隊長兼技術本部長(ぽち隊長)&F相談役と来よう(笑)。

緊張のトラバースを終え、写真奥からようやく山頂部に飛び出す。避難小屋でコーヒータイム。ほっと息をつく。

山頂からの眺め。昨年はあんなに真っ白だったのに・・・。

下山開始。とても急な尾根をジグザグに下りて行く。

さっき女三瓶から男三瓶を見上げたときに、登山者が見えた。それで山頂から下まではトレースがあるものと決め付けていたので、コンパスをあわせることもなく山頂を離れ、現在位置も把握せずにトレースをたどって下りて行った。ところが・・・、

トレースに沿って下りていくうち、尾根の先端のようなところに出た(実際には先端ではなく、全方向がそこから急傾斜になっている場所)。トレースはそこから右にそれ、隣の谷に入っている。夫が早速「こんなところあったかな?」と疑問を口にしたが、「あったあった!」と自信たっぷりな私。後で考えると、もっと下の方の別の場所と勘違いしていた(←アホ)。

それでそのままトレースを下って行ったが、あまりにも急傾斜の谷をまっすぐに下りていくので、さすがにおかしいと確信(遅すぎ;;)。谷が北に向かって落ちていることを確認し、地図を見ると、本来の登山道よりも東側を下りていることがわかった。それでもそのまま下り続けたのは、遭難パターンの定石、「登り返すのが面倒だったから」だ。

さらにしばらくトレースをたどるうち、トレースの主もさすがに谷をこのまま下りるのは危険と判断したのだろう、右側(東側)の尾根に逃げていた。ところがこの尾根も相当な傾斜で、中途半端に積もって緩んだ雪が滑りやすく、危険を感じる。ここでようやく引き返す決心をし、尾根をよじ登り、続いて滑るように下りて来た急傾斜を登り返した。(雪崩れるほどの雪がなかったのは幸運だった。)

尾根の先端(のようなところ)に戻り、落ち着いて地形と地図を見比べて現在地を特定。ようやくちゃんとした下山を再開した。約40分間のロス。正しい登山ルートはトレースが消えているところも多かったが、こんどは現在地を把握しながらなので大丈夫。

トレースに惑わされて時間を使っているいるうちに、ガスが出てきた。すでに夕暮れが近い。

「広島まで帰るの面倒だよねぇ。泊まっちゃう?」
「それがええな!」

そうと決まればおフロが楽しみ!こんなこともあろうかと、2人とも次の日は有休にしていたのです〜。

現在地確認ポイントのひとつ、大きな谷を渡る箇所。登山道の木柵が見えている。

変則四差路まで下りてきた。

堰堤を渡る。渡って少し左に下りて、右手の尾根を越える。トレースはまったくないので、地図と春の記憶を頼りに下っていった。

このルートは三瓶山自然林が圧巻。どの季節も本当に素晴らしい。

雪のない時期には湿地帯になる場所まで下りると、たくさんの足跡が出てきた。そこからほんの少しで、朝通った分岐。ここを左折し、駐車場まで戻る。すでに他の車は1台も残っていなかった。


風呂桶のイラスト 運よく空き室があったさんべ荘にチェックイン。早速温泉へ。ここはお湯もいいし、露天風呂がたくさんあって充実している。


「雪山」とか「冬山」という言葉は、その表面的な意味以上に、「厳しさ」とか「危険」とか「ベテラン」といったコノテーションを持つと思うので、安易に使いたくはないし、自分が行っているのはただの「雪の山」であり「冬の山」に過ぎないと思っている。しかし今日の三瓶山は、腐った雪と、春先のような稜線であったにも関わらず、内容的には冬山だったと言える気がする。東の原から女三瓶ぐらいならともかく、男三瓶は、トレースを期待して入ってどうにかなるような山ではないし、地図を読まなくてはどうにもならない。そんな精神的にタフな1日の後で、ぬるめの広い露天風呂で手足を伸ばして放心。今日はこの後そのまま寝てしまってもいいという安心感が、リラックス度に輪をかけた。


ところで・・・、
下山時に急な尾根と谷筋を登り返したとき、勝手なトレースをつけた主に無性に腹がたってきて「もうっ!何なのよ。人を危険なめにあわせてっ!」と、ついののしってしまった。帰宅後、夫が復習した地図をふと見ると、その場所に、「ぴよ はぶて尾根」としっかり名前がついていた。一生言われそうだ(笑)。


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