笹ガ峰 1859m  2001年11月3日


ガスと風雨の山頂

データ
行程 11:05下津池林道登山口…11:58宿12:10…12:38丸山荘(昼食)13:35…13:55樹林帯出る…14:22寒風山分岐…14:25笹ガ峰14:35…15:25丸山荘                                       
コースタイム(歩行時間) 3時間01分 (16,750歩)  
同行者
その他 丸山荘 7,000円/1人


 10月の後半は雨の週末が2回続いた。しばらく山から遠のいていると、大きな山が見たくなってくる。そこで海を渡って四国に行くことに。晴れの特異日だからと11月3日の週末を選んだのに、どうもあやしい雰囲気・・・。

宇品港を朝5時15分のフェリーで出発。8時前に松山観光港に着いてフェリーを出ると、ウィンドシールドにすでに雨粒が当たっている。それでも空は明るいので、「もしかしたら・・・」と期待しながら松山の街を抜け松山道に乗る。切り通しやトンネルが多い高速道を東に進んでいるうちに、次第に雨脚が強くなっていく。「う〜ん・・・、山に入っていくんだから止むわけないよね〜。」(←すでにあきらめの境地。) それでも久しぶりの山なので、うれしいことに変わりはない。


林道入口の橋伊予西条ICで松山道を下りると、早速雨の中を歩くお遍路さんとすれ違う。しばらく西に走って加茂川を渡ったところで左折、愛媛と高知を結ぶ国道194号線に入る。石鎚山への看板を見送り10分余り進んで、「笹ガ峰」の看板にしたがって左折。吊橋の名残りの橋脚(?)をくぐり、下津池林道へ。



【下津池林道入口】


カスケード状の流れ林道入口から登山口までは意外に長く感じる。途中からは舗装もなくなりスピードが出せないので、30分以上かかってようやく登山口に到着。すでに11時。家を出たのは朝4時半だというのに・・・。この時点で、今日のもともとの予定だった笹ガ峰から寒風山への往復をあきらめる。

3〜4台停められる登山口駐車場の脇にはいくつもの小さな滝を連ねた立派な流れが目をひく。(あとでこの程度の滝はこの地方では全然珍しくないことがわかった。) 


【駐車場脇のカスケード】


登山道はこの沢を右に見ての登り。樹間から勢いのある滝がいくつも見え隠れする。(たまに「おー!すごい立派な滝だー」と感心していると、実は砂防ダムから流れ落ちる水だったりしてがっかりもさせられるけど。) 左手に次々に現れる支沢を超え、行く手に崩壊地が見えてくるところ(別の沢との出合い)から左手に、固定ロープのあるやや急な坂を登る。やがて傾斜が緩み、登山道が水平になると宿(しゅく)が近い。宿は、ガイドブックによると木炭の集積地だったところ。杉林の中の平坦な地形は休憩にちょうど良い。


ガスに沈みそうな丸山荘宿からは南よりに方向を変え、すぐにさっき出合いのところで分かれた沢を渡る。ここからは明らかに植生が今までとは違い、目立つのはブナの木。宿から20分ほども登った頃だったか、白い空気の中に、木を燃やす懐かしい香りが漂ってきた。「あ、丸山荘が近いのかな」と思いつつ、手入れの行き届いた登山道を進むと、突然丸山荘の前に飛び出す。


【丸山荘】


雨は全然小降りにならないので、丸山荘の中でお昼を使わせてもらうことにした。玄関を入ってそう頼むと、「どうぞどうぞ、私たちもちょうどお昼だから」と管理人室に招き入れてくださる。薪ストーブが燃える管理人室の中は暖かい。小屋の手伝いのみなさんは5人。それぞれ山の経験も豊富な様子で、遭難とその救助についてずいぶん話が盛り上がっている。窓の外はひたすら雨、何度見上げても雨。いつまで待っていても仕方がないので、とにかく笹ガ峰までは行くことにして立ち上がる。


笹の斜面丸山荘の横から登山道に入ると、しばらくは樹林帯の中。そこを出ると風が強い。あたりは一面、笹原の斜面。視界は真っ白。雨は降り続く。「もう何でもいいや」という気になって頂上を目指す。

寒風山への道を右手に見送るとすぐに山頂。樹林帯を出てから30分。丸山荘からは50分。山頂はそれまでより更に風が強い。周囲のピークは全く見えない。ちち山に向かおうと2.5万図とコンパスを取り出したものの、風雨が強くて落ち着いて眺めていられない。さっき山ほど遭難話を聞いたばかり。ここで無理してちち山に向かうこともないか、と思いなおし、元の道を下りることにした。


【笹ガ峰へ】


ランプのイラスト 今日の宿は丸山荘。今回笹ガ峰を選んだのは、ここに泊まってみたかったから。山頂から戻ってみると、さっきまでガランとしていた玄関が、壁一面にかけられた雨具の色でとてもにぎやかになっていた。どうやら団体さんが到着したばかりの様子。部屋で濡れたものを脱いでストーブにあたりに行くと、たまたま同じ広島の「呉ハイキングクラブ」のみなさん(5名)がいらした。隣の部屋の団体さんの賑やかさに比べて、こちらは穏やかで感じのいい人たちばかり。ほっとする。明日の歩行距離は19 kmだとか・・・。

呉ハイキングクラブのみなさんと話をしているうちに、丸山荘の名物管理人夫妻が、犬のクロも一緒にこの春山を下りられたことを聞く。今は手伝いの人を頼み、週末だけ営業されているということだった。

ストーブにあたって話をしたりぼーっとしたりしているうちに、窓の外が次第に暗くなる。雨は相変わらず激しく窓ガラスをたたいて、とても止みそうにない。こうなったら楽しみは晩ごはんだ!と思っていると、期待以上のものが運ばれてきた。


晩ごはん 丸山荘のごはん

  きのこの混ぜごはん
  豚汁
  精進揚げ
   (マイタケ、シイタケ、シシトウ、
   ナスビ、ミョウガ)
  かまぼことわけぎのぬた
  揚げ豆腐と大根葉の炊き合わせ
   (ショウガ風味)


「ここは縦走の人が多いんで、野菜がたくさんとれるような献立にしてるんです」と、手伝いのおかあさんが言われる通り、ごはんにはプリプリしたきのこがたくさん、お汁には根菜やお肉がゴロゴロ、何もかも最高においしい。手のかかる「料理」の数々に小屋の人たちの心遣いが感じられる。

大満足で夕食を終え、9時前就寝。いつまでも飽きることなくザーザーと降り続ける雨に、「明日林道が崩れて通れなかったら・・・、もしかして陸の孤島?!」と気になりながらも、いつの間にか寝入っていた。


「寒風山」へ

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