五里山 (オサカエ〜五里山〜1158m峰 往復)
2011年4月3日


県境尾根上から見る五里山(の一部)
地形図で「里」の字がある1130m台ピークの東面

地図とコンパスのイラストデータ
行程

9:10オサカエ…9:20島根大学演習林林道入口(ワカン装着)9:30…9:38 974m地点(鉄塔)…9:50県境尾根…10:40展望地…11:20五里山1064m峰11:25…11:50 1158m峰12:45…13:07 1064m峰…13:40五里山1130m台峰…13:50展望地14:15…14:43県境尾根外れる…14:52 974m地点(鉄塔)…14:55車道15:00…15:05オサカエ

コースタイム(歩行時間) 4時間15分
同行者
その他 入浴@潮原温泉松かわ 550円/1人

登山靴のイラスト 雪の山を歩くようになると、それまで手元にあってもほとんど開くことのなかった『西中国山地』が冬のバイブルとなり、頻繁にひもとくようになる。(概念図が充実していてルート選びの参考になるから。) その本に紹介された山の中で、数年前から歩いてみたいと思っていたのが「五里山(ごりやま)」だった。

五里山というのは特定のピークの名前ではない。国道でありながら狭隘な峠道として知られるR488上で広島県と島根県が接するオサカエ(御境)から、恐羅漢山へと空中でつながる長大な県境稜線の、オサカエに近い部分を総称して五里山と言う。地図を見ると、とてもなだらかな尾根が延びていて、想像するだに気持ちが良さそうだ。登山道はなく、普段は笹薮の尾根(らしい)。

それなら雪を利用すればいいと思っても、オサカエに至るR488は冬期には閉鎖となり、開通するのは毎年3月15日。そのとき尾根に雪がたっぷりあれば歩けるが、そうでなければあきらめるしかない。そのわずかな時期をのぞけば、よほどの藪好きか、二日以上の幕営&ラッセル覚悟の好きモノでないかぎり、安易に足を踏み入れることはできない尾根筋だ。

そんなわけで昨年はあきらめたが、このシーズンの尋常でない降雪量を見て、今年は行けるかもしれない・・・、と、2月ごろから期待していた。R488が開通した3月中旬以降も2度の戻り寒波をやり過ごし、4月になって、ようやく出かけることになった。

吉和からR488に入る。谷に沿ってなだらかに高度を上げる道路が、ヘアピンカープを繰り返して登りとなり、登りきったところがオサカエ。

島根大学農学部附属 匹見演習林 尾根への取り付きをどうしようかと地図を眺めると、オサカエからも取り付けそうだが、それよりもオサカエから匹見側に少し車道を下ったヘアピンカーブから支尾根にとりつき、県境尾根にぶつかったところで左に向きを変えるのがおもしろそうだと思った。

←ヘアピンカーブの頂点にある看板

こちらが演習林に入るための道路。さすがに除雪はされていない。この雪の上を歩いていく。途中で車道はトラバースになるので、右側の尾根に乗る。

すぐに鉄塔のある974m地点。

県境尾根にぶつかる地点。ここで左折。この先にまた鉄塔があるので目印になる。

鉄塔からわずかに登って小さなピークに乗ると、あとはなだらかでだだっ広い尾根の登り。

尾根らしくない広がりのある地形。等高線が閉じないコブに乗るたびに、現在位置をチェックしながら登っていく。

標高1100mを越えると、展望のいい平坦地に出る。ここも等高線は閉じていない。

展望地から、冠寂地山塊。冠山の左側の尾根上には、クルソン岩が肉眼ではっきり確認できる。

続いて緩く登っていくと、地形図で「五里山」と斜体字で書かれたエリアに入っていく。この写真は五里山の「五」の字のピーク。

続いて「五里山」の「里」の字の左下にあるピーク。1130m台。
写真には女鹿平山が写っています。

1130台ピークを下り始めると、1158m峰が見えてくる。

1158m峰はとても大きい。その手前右側に見える白くて低いピークが、「五里山」の「山」の字のある1064m峰。

鞍部への下りは標高差で100m超。傾斜がきついので、シリセードにぴったりです(^ ^)v

鞍部から登り返して、1164m峰。
さっきよりは1158m峰が近づいた。

鞍部からの登り返しは長いけれど傾斜は緩く、山の大きさから心配したよりは楽だった。

やがて1158m峰の南西側の一画に乗る。

雪原を歩き、北東側の一画から振り返るとこんな感じ。こんな広い大雪原に残雪期にしか来られないとは、なんと残念なことでしょうか。





1158m峰から見る冠寂地山塊
十方山から見るよりもかなり近い。




中央の黒いのが京ツカ山、その左側に焼杉山と、白い旧羅漢山
右側は十方山と丸子頭



今日が土曜日なら、三角点のある京ツカ山まで行くけれど、
明日は会社だし、往復するには1時間以上かかりそうなので、あきらめた。
ただ、帰って調べてみると京ツカ山の展望はよくないということ。
この1158m峰が県境稜線上の白眉のようだ。




この角度から見る十方山はとても新鮮
間にある谷には十方山林道が通る。




大展望の中でランチをすませ、下山にかかる。
1130m峰の上には、大神ガ岳〜赤谷山(立岩山)の稜線が見えている。



だらだらと下って、少し登り返すと1064m峰。

1064m峰の下りからは、目の前に1130m台ピークが立ちはだかる。(矢印が夫。)

シリセード斜面なだけに、登り返しはとてもきつい。

こんな傾斜ですから(汗;;

ただ、この斜面の上の方はとても展望がいい。来るときにも素晴らしかったが、帰り道は陽射しが出てきて、さらに爽快だった↓。





1130m台ピークの西側直下からの大展望
左から、半四郎山、広見山、1158m峰、隠れ気味の丸子頭、そして十方山
手前中央に1064m峰




大きな広見山、左側に半四郎山




十方山の山頂部



1130m台を越えると、あとは楽なもの。1100m台の展望地まで戻って、ゆっくりコーヒータイムをとる。

←展望地から見る大神ガ岳〜赤谷山(立岩山)。

こちらは冠寂地山塊。

吉和の集落をまたぐ中国縦貫道の橋梁を、遥かに遠く見下ろす。
半径数キロ範囲には、きっと自分たち以外に誰もいない・・・。

名残を惜しみつつ、県境尾根を下る。

本当になだらかな尾根なのです。
(ということは、迷いやすいということでもあるのですが・・・。)

県境尾根を離れ、鉄塔のある974m地点まで戻ってきた。旧羅漢山(右)と広見山がよく見える。

最後はヘアピンカーブの頂点まで戻らず、尾根の左側の車道にショートカット。オサカエまで5分ほど国道を歩いて、下山完了。すっかり青空になった。

下山後、駐車したオサカエから上を見上げると、そこからも尾根にとりつけそうに見える。夫が偵察に少し登ってみると、雪も充分残っていたらしく、結論は「可」だった。ここから取り付けば、県境尾根に乗るまでの時間を短縮できる。また機会があれば、ここから取り付いてみようと思う。

R488で吉和へと戻る。少し前に高野町の林道の雪壁が新聞に載っていて、立山の「雪の大谷(おおたん)」のミニバージョンのようだと思ったけれど、高野町まで行かなくてもここにあるじゃないですか(笑)。

今シーズンの雪山シリーズでは、天狗石山以外のすべての行き先で登山道のないバリエーションルートを歩いた。おかげで恐羅漢山や比婆山のような定番の山には一度も行かなかったにも関わらず、充実度は大きかった。 『西中国山地』の「冠山」の項にも書かれている通り、「積雪期こそ自由にコースがとれる。」 ぽち隊長ならさしずめ「もう一般コースには戻れない」と言うことでしょう。いや、すでに右谷山でそう言うのを聞いたような・・・(笑)。

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