右谷山 1233m (5) 積雪期縦走
竜ガ岳〜寂地山南尾根〜ミノコシ峠〜右谷山〜右谷山南尾根
2011年2月26日


冠高原から見る右谷山
右のピークが1260m台の無名峰(便宜上、よく使われる錦ガ岳とします)、
左側が右谷山山頂で、錦ガ岳よりも低い。

地図とコンパスのイラストデータ
行程

8:55寂地峡駐車場…9:13木馬トンネル…9:30竜ガ岳9:40…9:48 672mP…10:45 874mP…11:15休憩(960m台コブ)11:20…11:25ワカン/スノーシュー装着(970m台P)11:30…11:35 967mP東…12:07 1076mP…12:38 1196mP…13:00主稜線…13:05ランチ13:50…14:07 1235mP…14:25ミノコシ峠…14:50錦ガ岳14:55…15:05右谷山山頂15:10…15:25コーヒータイム15:50…14:18 984mP…16:30ワカン/スノーシュー外す(960m台P)16:35…16:43カラスバ山(983mP)…17:00横吹山(909mP)…17:18電波塔…17:25引き返す…17:35分岐…18:10竜ガ岳展望地18:15…18:35宇佐八幡宮…18:40駐車場

コースタイム
(実歩行時間)
7時間55分
(行動時間 9時間45分)
同行者 ぽち隊長、夫
その他 入浴@小瀬川温泉丸忠 400円/1人


登山靴のイラスト  今シーズンは雪も堪能したし、そろそろ島の山に行ってのんびりしようかと思っていた矢先、お散歩ワンコぽち隊長から、同じ職場の夫に「リードが外れました」と報告があり、ぽこちゃんからは私に、「ぽちのリードを外しました」と連絡があった。そんなわけで、また3人で雪山シリーズの回を重ねることに・・・。行き先は右谷山南尾根。

この尾根は、10年以上前に初めて右谷山に登ったときから、「地図には破線があるのに・・・」とずっと気にかかっていたところ。相談役Fさんと登ったときも、南の方角を見ながら、「ここって、歩けるよねー?」 「踏み跡はあるんじゃないですか?」と話をしたのを覚えている。その後、雪の山を歩くようになってからは、積雪期にいつかは・・・、と考えていた。ちょうどいい機会なので行きましょー!とぽち隊長にメールを送信。

すると、「ついでに寂地山から南の672m地点に続いている尾根も歩けるのでは?」と、返事が来た。この尾根は、地図を読む人なら間違いなく目をつけるはずのしっかりした尾根。私自身、昨年夏に右谷山〜寂地山〜安芸冠山を歩いたとき、縦走路から南側に見える尾根の張り出しを見て、「歩くなら冬だなぁ」と思っていたこともあり、即、ぽち隊長案を採用。寂地峡(ヤケヤマ谷)の両側の尾根を歩く周回計画ができあがった。事前に地図を見た夫は、「えらく等高線が詰まっとるし距離もあるけど、大丈夫か?」と懸念を口にしたけれど、3人なら機動力も確保できるからなんとかなるでしょう。




それでは今日のルートを写真で確認。

出発点と終着点は寂地峡駐車場。五竜の滝の遊歩道を経て、
木馬(きうま)トンネルから一瞬寂地峡の谷に入り、すぐに右に登って竜ガ岳へ。
そこから尾根を登り、冠寂地山塊の主稜線縦走路に出て左折。
無雪期には巻き道を通る1235m峰へ直登。
鞍部のミノコシ峠に下り、錦ガ岳に直登で登り返し、右谷山へ。
そして右谷山南尾根を下り、672m峰を経て宇佐八幡の裏に出る予定。

なんか、やっぱり長いかも・・・(汗;;


駐車場を出て五竜の滝の遊歩道に入ると、すぐに雪の上を歩くようになった。五つの滝は、どれも雪解け水でものすごい流れとなっている。

とても遊歩道とは言えないような狭くて急な階段を登ると、木馬トンネルの入り口に出る。いちばん急な箇所には雪がついていなかったので助かった。

トンネルを抜けると谷に入る。すぐに左岸に渡り・・・、

竜ガ岳に登る。急なジグザグ道が続くここも、いちおう遊歩道。

←ぽち隊長の足元に注目。ステップを作ってくれています。

尾根に乗り右折し、岩を登ると、今日最初のピーク竜ガ岳に到着。

右側に見える重厚な尾根が今日の登路。
矢印が目的地右谷山。ものすごく遠い。

岩峰の先端には、ふくよかなお顔の観音様がおいでになります。

竜ガ岳を後に、尾根上を直進。672m地点まではすぐにたどり着いた。この尾根上で地形図に標高表示がある場所は、すべて等高線の閉じない小ピークになっているので、いい目印になる。

2月中旬以降の晴天で雪はすっかり溶けてしまっている。尾根上には、大きな岩が点在。こんな狭い岩の間を、ザックをこすりながら通り抜ける。

って、私、抜けられないかと思いました(笑)。

急な登り多し。

岩を巻く箇所。
雪がついていたら、アルピニストぽち隊長はOKでも、夫と私が越えていけるかどうか怪しいものだ。地形図からは、こんなに岩の多いルートだということはわからない。雪がないのはかえって良かった。

尾根の傾斜はどんどん増し。雪に覆われるようになってきた。874m地点の直下は、場所によっては斜度40度。しっかりと雪に脚を蹴り込み、立ち木をつかまないと登れない。写真を撮る余裕もなく登る。

ようやく874m地点にたどり着いた。(写真右上が南西方向の尾根。登ってきたのはこの尾根ではなく、南側の急な斜面。)

延々と続く登り。尾根上の雪も増えてきた。この先でワカンとスノーシューを装着。

967m地点のすぐ東側にて。
左上に伸びる白い尾根の先が967m地点。
上に見えているのが錦ガ岳と右谷山。

尾根の傾斜が緩み、広がりのある気持ちのいい場所を通る。

ブナも見られるようになってきた。

尾根の左前方に見える1235m峰(右)、ミノコシ峠、そして錦ガ岳。
まだものすごく遠い。

1076m地点の下は急な登り。ぽち隊長、お散歩を満喫しています(笑)。

しばらく緩い尾根が続く。

そして、1196m地点の手前から、徐々にブナ林に入り、進むに連れ、大規模なブナ林であることがわかってくる。

縦走路まであと少し。
それにしても、ここにこんな見事なブナ林が隠されていたとは。

ようやく主稜線縦走路に合流。すでに午後1時。

右谷山方面に5分ほど進んだところで、風のある尾根上を避け、ランチ場所を作る。

って、私は作ってないけど(笑)。

ランチの後は快適な縦走路。まっすぐ1235m峰を目指します。

1235m峰から見る錦ガ岳と右谷山。ここまで来ても近づいていないように見えるのはなぜ?(笑)。

下り始めると、南側の海の向こうに、雪をかぶった山が見える。
先週に続いて、なんとまた石鎚山が見えました。

錦ガ岳を目の前にする下り。

鞍部のミノコシ峠。

それにしても今日は誰にも出会わない。「ここって、人気ないの?」と関東出身のぽち隊長。そうじゃなくて、ハードだから山岳会以外の人たちは敬遠しているんじゃないですか?(←ハードだということに今頃になって気づいているヒト。)

峠からは、夏のトラバース道はとらず、標高差で140mほどを直登。きついです。

太陽の光が午後のものになってきた。

気持ちのいい錦ガ岳山頂。

北側に、良さそうな尾根が伸びている。その上に、赤谷山(立岩山)が見える。

寂地山方面を振り返るとこんな感じ。
右谷山よりは、ここの方が眺めがいい。

冠高原、鬼ガ城山、瀬戸内海方面。

風に身を任せたブナが1本。

錦ガ岳と右谷山の間は、夫と私のお気に入りのハウチワカエデの林。(写真は右谷山側から振り返ったところ。)

こんなスピリチュアルなブナもあり・・・。
緩く登り返すと・・・、

右谷山山頂に到着。
天狗石山でも臥龍山でも標識を掘り出していたこの2人、さすがにベンチまで掘り出す趣味はなかったようです(笑)。

右谷山頂を後に、念願の南尾根に入っていく。

尾根の左側(東側)には、立派なブナが見られる。

積雪期の今は、下るに連れ、尾根が枝分かれする様子が手に取るようにわかり、ものすごくおもしろい。要所要所で地図を確認し、進むべき方向を見極めつつ、下りて行った。赤テープが頻繁すぎるほど頻繁についていて、自分たちの判断を確認できるのも有り難かった。

山頂からしばらく下り、最初の要注意ポイントを過ぎたこの先でコーヒータイム。

尾根上にアカマツが見られるようになり、さらに少し下ったこの地点で右折。ここも要注意ポイント。(写真は振り返ったところ。)

984m峰を越えた付近から、尾根上の雪がなくなってきた。この先でワカンとスノーシューを外す。

983m峰(カラスバ山)への登り。

あまり面白みはないカラスバ山の山頂。

カラスバ山を下り始めると、尾根の明瞭さが消える。(写真は振り返ったところ。)見た目には広々として感じがいいけれど、要注意。

小鞍部から緩く登り返すと、909m峰(横吹山)に至る。(写真は振り返ったところ。)このピーク、なだらかで広がりがあり、ものすごく気持ちがいいです。

さて、横吹山からは672m峰にコンパスを振って歩き始める。とても急な傾斜を下りていくと、岩の上に小さな電波搭が立っていた。そこから下を眺めると、尾根はさらに急な傾斜で落ち込んでいる。そこを下りて行った。

この付近になると雪もすっかりなくなり、尾根らしい地形は消えて、急な斜面となった。周囲は藪状態。現在位置はわかっていて、そのままコンパスの指す方向に進めば尾根がはっきりしてくるのは予測できるけれど、藪にうんざりしたぽち隊長からダメ出しがあり、横吹山の直下まで登り返すことになった。そこから観音様コースに向けて延びる尾根にルート(踏み跡=赤テープ)があるという記録を読んだのを覚えていたからだ。

というわけで、「こういうときに登り返す体力がないと、遭難するんだよ」というぽち隊長の解説を聞きつつ(笑)、急な尾根を登り返し、横吹山の直下で東向きの尾根に乗り換える。(写真はその尾根を下っているところ。)

この時点ですでに5時過ぎ。ふつうなら焦りが出ても良さそうなものだけれど、里は下に見えているし、まだ明るいので、3人に悲壮感はまったくない。事前に懸念を口にしていた夫も、「こういう経験を重ねることが大事!」と、前向きな姿勢になっている(笑)。

そうは言っても、日没までわずかな時間しか残されていないので、横吹山までのように頻繁に地図を見て歩く余裕はない。こちらの尾根は予習もしていないので、1箇所、明らかにそれと判断できる750m台のコブで現在地を特定した他は、赤テープを頼りに下りて行った。

←夕陽を浴びる鬼ガ城山。里も見えています。

やがて尾根上に大きな岩が現れ、それを越えて下りていくと・・・、

目の前に竜ガ岳の岩峰をのぞめる地点に出て、観音様コースに合流した。

そこからは遊歩道だから楽勝・・・、と思いきや、薄暗くなりヘッドランプを点灯。日陰に残る積雪で道を見失うこと二度。しかし、「わからなくなったら無闇に歩き回らずわかるところまで戻る」を鉄則としている私たち、二度ともすぐに道を発見。ほとんどロス時間もなく・・・、

「観音様コース」の木札がある木馬トンネルとの分岐に出て、無事、宇佐八幡に至る橋を渡った。

そして宇佐八幡から車道を寂地峡駐車場に戻る。

遊歩道に出た頃からは、薄暗くて地図をじっくり見られなかったので、どこを通ったのやら見当がつかない。帰宅してから、広島山稜会さん記録を見つけ、記憶と照らし合わせて地図に書き込んで復習をした。

今日の行動時間は9時間半、うち歩行時間が7時間55分。寂地峡駐車場から右谷山山頂までの標高差は700m超。それに加えて途中のピークのアップダウンがあり、累積標高差はもっと大きくなるだろう。いつもは寂地峡をゆるゆると登るから、タイコ谷/クロナメラ谷出合いからミノコシ峠までの一気登りの他はハードとは感じないけれど、今日は一般登山道のない尾根を通ったことで、とんでもない等高線の詰まり具合を体で感じることになった。登っても登っても主稜線にたどり着かない、下っても下っても里に出ない・・・。寂地山南尾根も、右谷山南尾根も取り組み甲斐のあるルートで、充実感は大きかった。ま、それに比例して疲労感も大きかったわけですが(汗;;)。


今日のルートの「寂地山南尾根」という呼称は、上記の広島山稜会さんの記録から転用させていただきました。また、修行僧さんカタクリの時期に寂地山南尾根を登られています。この尾根に登山道があればみんな喜ぶのに、と私が言うと、夫は、「ぴよが自分でナタ持って来て作れば?」と、冷たく言い放つのでした(笑)。


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